「さぁ、始めましょうか?この先についての話し合いを・・・この先の人類についてのね・・・・」
キョウは静かに言った。
第五話「ゲンドウの真意、シンジの過去」
シュウジ
ネルフ司令室
「お前は何者だ。」
ゲンドウはいつものポーズでキョウに威圧を与えながら言う。
「ふぅ、あなたは・・・・・まぁ、自分のペースを崩さないってのは合格ですね、ネルフ本部の指令としてはですけど。」
「何が言いたい。」
「シンジの親としては失格ってことですよ。いきなり説明もなしに出撃?何考えるんですか。」
ユイは激しく体をびくっとさせた。
「シンジが乗らなければ人類は滅んでいた。」
「へぇ、言い訳ですか?それはずいぶんとまたいい大義名分をお持ちですね?」
「・・・・・」
ゲンドウも自覚しているのか何も言わない。
「ま、結果的にシンイチが乗ることになりましたけど。さて、あなた達は俺達について聞きたいことがあるんですよね?
ギブアンドテイクってことでどうですか?一回ずつ質問するってことで?」
「・・・いいだろう。」
「ではまずあなた達の自己紹介をしてください。」
ゲンドウ達は少し驚いていた。こんな質問など予想していなかったのだ。
「では、私から。私の名前は冬月コウゾウ、副指令をしている。まぁ、碇の雑用などしているよ。」
「そうですか。貴方の噂は聞いております。そういう雑用の方が大変だったりしますよね。」
「あぁ、ありがとう。」
「私の名前は赤木ナオコ。隣にいるリッちゃんの母親よ。今は技術部の担当顧問をしているわ。
よろしくね。」
容姿はテレビ版より少し年食って見えるくらい。もちろん白衣を着ている。
「こちらこそよろしくお願いします。」
キョウは微笑む。
「「「(あ〜〜〜、なんて綺麗な笑顔なの〜〜〜!!)」」」
女性陣はキョウの微笑みに少しトリップしているようだった。
「わ、私の名前は赤木リツコよ、もう知っているでしょう?」
「えぇ。」
キョウは答える。
「私の名前は碇ユイ。ここの副指令補佐をしているわ。そしてシンちゃんの母親なの・・・」
「シンちゃん?あぁ、シンジのことね、こちらこそよろしく。」
「そしてこっちは私の夫、ゲンドウさんよ。ここの指令よ。」
自己紹介が終わる。
「さて、次はこちらの質問だったね。君は何者かね?」
コウゾウは代表して聞く。
「何ていえばいいんだか、どっから話せばいいんだか、う〜〜〜んわからん・・・」
キョウは唸る。しかしその姿は女の子が悩んでいるようにしか見えない。
「あ!」ポンとキョウは手をたたく。
そしてキョウは構えて、
「フフフ、聞いて驚くな?俺の名は神楽キョウ。世界一の術士だ!!」
と叫んだ。
「(フッ、決まったな・・・)」
キョウは心の中でガッツポーズをしていた。
「「「「「・・・・・」」」」」
ゲンドウ達は呆れている。
「あれ、つまんない?」
キョウは不満そうに言う。
「い、いや、そういうことじゃなくてね。私達が聞きたいことは「わかってますよ。いいたいことは。
俺達がゼーレのスパイか、それとも別の組織かってことでしょ?ちがいますよ?俺達は。」
ナオコが喋っているのを遮ってキョウは喋った。爆弾発言を・・・。
「なぜゼーレを知っているの!?」
リツコは質問する。
「質問は一回ずつです。」
キョウはリツコに忠告する。
「俺達はゼーレの敵対組織ってところですかね、一応。」
「「「「な!!?」」」」
ゲンドウ達は驚いた。ゼーレの組織に知っていて、しかも敵対しているなんて・・・。
ゼーレに敵対する組織はたくさんあるがおおっぴらに敵対しているという組織はなかった。
それだけゼーレの力が強いのだ。だからこそ驚いていた。
「それでは俺からの質問です。
貴方達はゼーレの味方?それとも敵?どっちですか?」
「・・・・・・・」
ゲンドウは悩んでいた。急にこのキョウと言う少年のことを信じるか?それとも・・・・・
ゲンドウは決心した。
「敵だ。」
「「「「!!!!!!」」」」
他の人は酷く驚いていた。当然だ。この少年がゼーレの手のものだとすれば大変なことになる。
「・・・・・そうですか、良かったです。これで余計なことをしなくてもすみます。」
「よ、余計なことって?」
ユイは恐る恐るキョウに聞く。
「俺達はゼーレの敵対組織です。そしてネルフもゼーレと手を組んでいるのはわかっています。
ここで味方と言った場合は・・・・・ここまで言ったらわかるでしょう?」
キョウは笑った。
しかしその微笑みは先ほどとは違く感じた。それは全身に冷汗がでるような感じだ。
「では、そろそろ今日はこの辺でお開きということで。」
キョウは指令室を出て行く。
「待って!!神楽シンイチと言う少年はなぜシンジ君にそっくりなの?」
ナオコは気になっていたことをキョウに聞く。
「質問は一回ずつ。それに科学者なら自分で調べてください。」
キョウは振り向いて意地悪な微笑みを浮かべながら出ていった。
「くうぅぅぅぅぅぅぅ!!やっぱりあの子も科学者ね!!!暴いてやろうじゃないの!!!赤木ナオコの名にかけて!!!!」
ナオコは叫ぶ。暴走は止まらない。
「リッちゃん行くわよ!!!!」
「えぇ!!わかってるわ!!母さん!!!」
訂正、リツコも暴走しているようだった。
二人が出て行くとそこは嵐が過ぎてったようだった。
「・・・・・も、問題ない」
ゲンドウは静かに答えた。
その頃ミサトは司令室の端っこで泣いていた。
「出番少ない(泣)」
我慢してください。
第一次頂上決戦跡地
仮設テントの中、目の前のテレビでは事実を語らない、嘘に塗り固められた発表がされていた。
「発表はシナリオB―22か。またも事実は闇の中ね」
防護服に身を包んだミサトが、暑そうにウチワを仰ぎながらそう言う。
ミサトはただでさえ気温は殺人的だというのに、この上さらに暑苦しい防護服など
着ているせいで、ミサトは最悪な気分だった。
「広報部は喜んでたわよ、やっと仕事が出来たって」
そう言うリツコも防護服を着ていた。
しかし汗一つ掻いていない。
ミサトはリツコの言葉を後ろに聞きながら、座っている椅子に深くよりかかる。
「うちもお気楽なもんね〜」
「どうかしら? 本当はみんな怖いんじゃない?」
「・・・・・・かもね」
ミサトは初号機と使徒との戦いの記録に目を通したときの恐怖心が拭えないでいた。
ミサトとリツコは、今―――巨大な爆心地の中心にいた。
暗闇の中でゲンドウと5人の老人が話し合っている。
「使徒再来か、あまりにも唐突だな。」
「15年前と同じだよ。災いは何の前触れも無く訪れるものだ。」
「幸いとも言える。我々の先行投資が、無駄にならなかった点においてはな。」
「そいつはまだわからんよ。役に立たなければ無駄と同じだ。」
「ところで碇君情報操作はどうなっているかね?」
「その点においてはまったく問題ありません。」
1人の老人が聞いてきた質問にゲンドウが答えた。
「そうか、それでは人類補完計画についてはどうだ?」
「その点に関しても1%の遅れもありません。」
そうゲンドウがいうと4人の老人達の顔が綻ぶ。しかしこの老人達の中の責任者らしき老人がゲンドウに問い掛ける。
「ところで碇よ、フォースチルドレンの力はなんだ?このような事はシナリオになかったが?」
「フォースチルドレンに関しては何の心配も要りません。シナリオに支障がでたら消せばいいだけです。」
ゲンドウはまったく術について知らないのにあたかも知っているような口ぶりだ。
「・・・・・・・まあいい、使徒再来における計画スケジュールの遅延は認められん。予算については一考しよう。」
「では、あとは委員会の仕事だ。」
「碇君、ご苦労だったな。」
そう言うと4人の老人は退席し、ゲンドウと責任者の老人だけが残った。
「碇、後戻りはできんぞ。」
そう言うと責任者の老人も退席した。
しばらくしてゲンドウが誰に言うでもなく呟く。
「わかっている。人類には時間が無いのだ。お前ら老人達の好きにはさせんさ。」
その言葉は闇の中に飲み込まれた。
「やっぱクーラーは人類の至宝、まさに科学の勝利ね♪」
トレーラーの中で、クーラーの冷気を感じ、ミサトは気持ちよさそうに目を閉じる。
「シンイチ君、気づいたようよ」
車内電話で、病院からの連絡を受けたリツコがそう言うと、ミサトは静かに目を開けた。
「・・・・・・で、容態はどうなの?」
「ぜんぜん。いたって健康体よ」
「そう・・・。ねぇ、リツコ、あの子達は何者?」
「わからないわ。ただ言えるのはあの子達は敵じゃないってことだけね。」
「なぜ、そういいきれるの?」
ミサトは怒ったように言う。まぁ、ミサトからして見れば自分を気絶させたガキって感じだろう。
「もしスパイならあんなに怪しいのを送らないわ。
それにネルフの敵対組織ならあの時キョウ君一人で多分私たちのことを全員殺せたはずよ。」
ミサトの口調にをどこ吹く風のようにリツコは話した。
そこはやはり親友ってことなんだろう。
場所は変わり医療棟
シンジ達は自分達の家に向かって医療棟を出ようとしていた。
昨日シンジとキョウがあの後話をした結果一緒に住もうという結果になった。
シンジがユイ達とは住みたくないということだ。
大人から見ればそれは意固地とか子供の戯言とかわがままってことなのかもしれない。
しかしそれこそ大人の傲慢なところだ。
シンジは親戚の家に預けられていたのだ。
年に何回も会えなく、授業参観の日、教室の後ろを見ても両親はいない。
誕生日の日、クリスマスの日、正月もそうだ。
周りからは両親に捨てられた子供としていじめられてもいた。
ある日シンジは両親に会いたいがために万引きをしたこともあった。
もちろん警察に捕まり保護者の引き取りがある。
そこでシンジは「もしかしたら両親が来てくれるかもしれない・・・・」という期待を寄せていた。
しかしそこにきたのは親戚の人だった。
「こんなときもこなかったんだね、父さん、母さん・・・・」
シンジのいやな思い出である。
シンジたちが廊下を歩いていると前のほうからからからと移動ベッドが動いてくる音がした。
そちらを見ると、看護婦が付き添ってベッドを押してくるのが見えた。
「「・・・・・・」」
「(・・・綾波・・・レイ・・・)」
キョウ達はだまってそれを見ていた。
シンイチは心の中で呟いていた。
そこには、あの蒼銀の髪の少女が横たわっていたのだ。
「・・・」
少女も、立っていたシンジ達を見て、驚いた顔をした。
「あ・・・・」
少女が声を上げると、看護婦は立ち止まった。
「・・・」
「・・・あ、あの・・・・もしかして碇シンジ君?」
少女は、頬を微かにピンク色に染めてレイは、確認するように訪ねた。
「う、うん。あの・・・どうして、僕のこと・・・・・・それに君は・・・?」
「・・・あ、あたしは綾波レイ。・・・だって、いつもゲンドウさんとユイさんが、あなたの自慢をしてるから、ね」
不思議そうなシンジにレイが微笑んで応えると、シンジは複雑な表情を見せた。
それは、憂うような、哀しむような、不思議な表情だった。
「・・・」
思わず、その顔に見とれてしまうレイ。
「(・・・写真で見たより綺麗で、繊細な顔立ちなのね!
・・それに、何とも言えない不思議な表情をするのね!!)」
しかしシンジは別のことを考えていた。
「(・・・この子が母さんのいってた子、綾波レイ。
僕の居場所にいるはずところにいる子・・・・この子に奪われたんだ・・・・・)」
キョウとシンイチはそのことを察してか
「俺達を無視するな〜!!初めまして綾波レイさん、俺の名前は神楽キョウ。
ネルフ本部で働くことになったんだ。隣にいるのが俺の弟だよ。」
「初めまして、綾波さん、神楽シンイチっていうんだ。シンジとはそっくりだけど兄弟じゃないから。
フォースチルドレンで〜す」
「!?!?」
レイはシンイチとシンジが似ていることに気づいてびっくりしていた。
看護婦さんが申し訳なさそうに
「ごめんね。病室に連れてかなきゃならないから・・・」
「あ、はい。すみませんでした」
シンジが慌てて言い、道を開けた。
「・・・みんな、またね。・・・良かったら、お見舞いに来てね」
レイが人なつこく言い、看護婦がシンジ達に軽く頭を下げ、移動ベッドを押して
その場から去っていった。
シンジは、複雑そうな表情のまま、レイを見送った。
後書きのようなもの
どうもシュウジです。
綾波レイ登場!!ユイ達と暮らしていたので綾波の性格は明るく元気って感じです。
もちろん髪は蒼銀で赤い目です。
シンジとの関係はレイが友好的、シンジがあまりかかわりたくない人物ってところです。
次は家族、学校について書きたいと思っています。
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